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三十路が綴る、由無し事

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多様性の認知要請(【映画評】イミテーションゲーム)

sometime it's the very people who no one imagine anything all who do the things no one can imagine

 ー 時として誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げる

情報系の学生であれば誰もが一度は耳にしとことがあるであろうチューリングという名前。

彼も生前は誰も想像しないような人物であったようである。

 

あらすじ(※ネタバレ含む)

第二次世界大戦時、一時は欧州全土を制覇する勢いで進撃を続けたヒトラー率いるナチスドイツ軍。彼らの情報伝達に用いられたのが解読不能の暗号と言われたエニグマである。

(余談1:エニグマと聞いて私がまず想起するのは零の軌跡である。軌跡シリーズは世界観が練られており、音楽が素晴らしい、心安らぐ雰囲気を持ったゲームだった。)

そのエニグマの解読という極秘任務を与えられたイギリスのチューリング。現代のコンピュータの礎となったチューリングマシンを構築し暗号の解読に成功する。

解読後も冷静で、終戦までドイツ軍に悟られないまま数学の力を駆使して連合軍を勝利に導いたのである。彼のおかげで戦争は5年早く終結し1400万人の命が救われたと言われている。

(余談2:ホワイトカラーに出てくるナチスのUボートに眠るお宝もチューリングの功績によって沈められたものなのだろう)

そんな稀代の天才チューリングであるが、同性愛者であることが警察に発覚し罪に問われてしまう。ホルモン治療の道を選択するが41歳の若さで自ら命を絶ってしまうのであった。

 

感想

彼の晩年を示唆するようなどこか退廃的な雰囲気が作品全体に流れており重たく感じる部分もあるが、時代背景も含めこれがアラン・チューリングという人間を表現するのに適した濃度なのだろうと思う。

天才はどこか頭の螺子が外れたような特異な人物が多いとされ、チューリングも御多分に漏れず変人として描かれるが、彼はどこまでも純粋過ぎたのだと感じた。

エニグマを解読するために設計したマシンにクリストファーという名前をつけ、自殺する直前まで頑なに傍を離れず愛情を注ぎ続けたのは、言わずもがな学生時代に愛した、暗号の面白さを教えてくれた、突然結核で帰らぬ人となってしまった、クリストファーを思い続けていたためであろう。

彼がもし同性愛が認められる時代に生きていたらどんな業績をあげただろう。LGBTへの理解が叫ばれる昨今だが、他人事としか考えていない人がほとんどなのではないか。

綺麗事でなく本当の意味で多様性を認めるマインドを常識化するべきである。

想像もできないような偉業を成し遂げるのは、想像もできないような人かもしれないのだから。

 

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