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三十路が綴る、由無し事

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ニッチとホスピタリティ ~癒しの空間から~

鋏とは紙を切るものであり髪を切るものでもある(自作)

 

ニッチ市場をどう捉えるか

美容室の鋏研ぎ、という仕事の存在をどれくらいの人が認知しているだろうか。

言われてみれば存在して然るべきだと考えられるが、一般に意識されることは滅多に無いだろう。

私自身も今日施術中にたまたま居合わせた結果このエントリを書く運びとなった。

 

歯医者の数はコンビニより多いというのは少し有名な雑学だったりするが、美容院の数は歯医者すらも凌駕する。(確か5倍以上多く20万件を超えていた記憶している)

我が家の傍もそうなのだが、数百メートルの中に美容院がひしめき合っている光景を目にすることはそれ程稀ではないはずである。

そんな美容院に対し、鋏の研ぎ屋は圧倒的に不足しているらしい。近くに無いため鋏を送り研いでもらって送り返してもらう、ということをしている所がほとんどなんだとか。

鋏は言わずもがな美容師の商売道具であり、当然手入れは欠かせない。凡そ半年に一度は研ぐ必要があり、それぞれローテーションしながら使用しているようだ。

このままでは明らかに非効率である。簡単に鋏を研げる研磨機を開発し一美容院に一台置いてもらうようにできないのか。

と思って調べてみるとやはり類似品はあるようである。なぜそういった方向にシフトしないのか、次回訪問時に聞いてみようと思う。

普段は意識しない部分にも様々なニーズはあり、それをうまく捉えることで大きな市場を作り出せる可能性はそこかしろに転がっているものなのかもしれない。

ニッチを探して(新潮文庫)

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行くのが楽しみになる空間作り

さてそんな美容院、私の行きつけはオーナーが一人で営業しているこじんまりした店舗である。

家の近くでたまたま通りがかりに見つけたのだが、ここのホスピタリティが素晴らしい。

良心的な価格設定にも関わらずしっかり時間をかけて施術してくれる。その上、最初に髪型を決める際美味しいコーヒーの提供、炭酸シャンプーでの洗髪、美容品の卸値での販売等々、とにかくお客さんに喜んでもらうためには何ができるかを日々考えておられる様子がひしひしと伝わってくるのである。

お父さんが子供を連れて来られる美容院を目指しているとのことで、子供用にアニメを観ながら施術できるようになっていたり、最後にお菓子の詰め合わせをくれたりと至れり尽くせりである。勿論幼児だからといって手を抜くことも無い。

私は毎回このお店に行くのが楽しみになり、自然と髪を切る間隔が短くなった。

安価で高いレベルのサービスを提供することは、ミクロに見れば割に合わないように思えるが、結果としてお客さんにも愛され長く続く秘訣になるのだろうと思う。

ユーザーには無料で様々な機能を提供し、広告収入を得るビジネスモデルのを築いたG社と同じ思想なのだろう。

ポストの数より多い美容院の中で生き残っていくカギは最上のユーザーエクスペリエンスを提供するホスピタリティにあるのかもしれない。

9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ

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